福祉専門官について
福祉専門官は福祉の領域で仕事をする法務技官です。法務技官とは、法務省で専門的な技術を用いて職務を行う国家公務員で、その専門性に応じていくつかの役職が設けられています。調べたところ、刑務所や少年院、少年鑑別所などの刑事施設で心理、医療、作業、就労支援等をそれぞれ担当し、受刑している人などに対する処遇や調査、治療、支援等を行っています。
身分は国家公務員になるので、他の国家公務員と同様、法律で定められた給与が支払われ、福利厚生等も受けられます。
平成26(2014)年度から設けられた役職で、社会福祉士又は精神保健福祉士の資格を持ち、福祉施設、社会福祉協議会、福祉事務所、医療機関、行政機関等での福祉的業務の経験がおおむね5年以上あることが要件とされています。
福祉専門官の仕事内容
福祉専門官は法務技官の中でも「福祉」のスペシャリストとして働き、受刑者に対して直接的な支援をしたり、その他の職員に対して助言をしたりして受刑者が社会に出た後、適切な支援を受けられるように調整をします。
刑務所は懲役刑を受けた人が刑期の間、お勤めをするところではありますが、受刑者の中には高齢者や障害を有する人も多く存在し、適切な引受人もいない場合も少ないために出所後、生活に窮してすぐに再犯をしてしまう人も少なくありません。福祉専門官は、そんな人たちの出所後の円滑な社会復帰のために関係各所に調整等を行います。

(1) 特別調整に関する業務
高齢又は障害のため自立が困難な受刑者等の社会復帰支援として、退所後に福祉サービスを受けるために保護観察所、地域生活定着支援センターと連携して行う特別調整に必要な各種調整を行います。
(2) 受刑者の社会福祉支援に係る福祉関係業務
疾病等のため釈放後直ちに医療や福祉サービスが必要な受刑者等の釈放時の保護や福祉サービスを必要とする者の選定及び福祉ニーズの把握福祉サービスを受けるために本人が行う申請手続の援助を行います。
(3)社会復帰支援に係る関係機関との連絡調整
釈放後の受入先となる医療機関・福祉施設等の開拓及び受入等に向けた連絡調整釈放後の福祉に向けた関係機関(福祉事務所、市町村福祉窓口、更生保護官署等)との連絡調整を行います。
(4) 矯正施設内での福祉に関する相談等
施設内で受刑者などから福祉に関する相談があった場合や、情報提供講話少年院であれば、保護者に対する福祉支援の調整を行います。
福祉専門官の勤務地
福祉専門官は刑務所内で勤務します。刑務所が近くにある方などは、求人情報をチェックしましょう。
採用情報
法務省のホームページに「福祉専門官選考採用」のページがありましたが、法務省の採用ページからのリンクが置かれていないため、法務省での採用案内は現在のところされていないようです。
求人情報は各施設において、ハローワークで募集をかけているようです。以下のリンクからハローワークインターネットサービスのページを開き、フリーワードに「福祉専門官」と入力して検索をしてみてください。
令和7年1月末の情報
加古川刑務所(兵庫県加古川市)、香川県高松市の刑事施設、長野刑務所(長野県須坂市)、岩手県盛岡市の施設、八街少年院(千葉県八街市)、榛名女子学園(群馬県北群馬郡榛東村)、広島県尾道市の施設、宮川医療少年院(三重県伊勢市:(注)パート待遇)
以上の矯正施設で募集がありました。年度が替わる時期であり、多数の募集がありました。
求人情報の中には、福祉専門官の業務補助として求人もありました。時給の記載があり、いわゆるパートタイムで社会福祉士としての勤務になるようです。この場合は国家公務員としての身分ではありません。
まとめ
福祉専門官は法務省で働く法務技官という官職に就き、福祉のスペシャリストとして、受刑者等の社会復帰支援を行い、職員に対しても福祉に関する情報提供や助言を行う仕事です。高齢化社会の中で、受刑者等に占める高齢者や障害を有する者の割合は年々増加しており、その円滑な社会復帰を支援する役割は、今後ますます重要になっていきます。
・公務員として働きたい方
・刑務所の中で働きたい方
・罪を犯した人の立ち直りに貢献したい方
などは応募を検討してみてはいかがでしょうか。
採用数は多くないので、希望する方は定期的にハローワークのインターネットサービスを利用して、求人情報をチェックしてみてください。
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