問題31/第20回(平成29年度)/精神保健福祉士(専門)
精神保健福祉相談援助の基盤
次の事例を読んで,問題30から問題32までについて答えなさい。
E養護教諭は,Fさん(中学1年生,女性)から,入学当初より自傷行為についての相談を受けていた。ある日,Fさんから,「同級生たちからひどい言葉を浴びせられる。自分の性別のせいだ」と話をされた。性別への違和感の訴えは初めてで,これまでの相談の様子と異なることに気付いたE養護教諭は,性自認に課題がある人への支援経験が豊富な,スクールソーシャルワーカーのGさん(精神保健福祉士)に会ってみ ることをFさんに勧めた。Fさんの了解が得られたことから,E養護教諭はGさんに相談の予約をした。約束した日に,緊張した面持ちのFさんは,Gさんの下を訪れた。次のうち,Gさんが用いた技法として,最も適切なものを1つ選びなさい。
自己紹介の後,世間話をして,Fさんの緊張も解けた頃,Gさんが語りかけた。(問題30)
Fさんは長い沈黙の後,「自分の性別に違和感があり,そのことをただ一人の親友に言ってみたが,それ以後,親友の態度がよそよそしくなってしまった」と話し始めた。さらに,「このままだと居場所がない」,「性別によって押しつけられた役割には納得がいかない」と続け,これからは男性として生活をしたいという願いを語った。そして,「家族は気が付いていると思うが,きちんと話をしてみたい」と述べる一方で,「学校では,一人ぼっちでつらい」と話した。肩を落とし涙ぐむFさんに,Gさんは,「親友にあなたのことを分かってもらい,今までどおり接してほしいのですね」と伝えた。(問題31)
後日,Gさんは,家族同伴面接を行い,自分の性別の違和感について理解してほしいというFさんの気持ちを家族に伝え,専門の医療機関の受診を勧めた。その後,性同一性障害(疑い)と診断を受け,カウンセリングが開始されることになった。
しばらくして,Fさんと家族から学級担任に,Fさんが自認する性で生活をしてみ たいという申出があり,Gさんの協力の下,E養護教諭を中心に支援チームが作られ,修学を継続する環境調整が始まることになった。(問題32)