問題50/第20回(平成29年度)/精神保健福祉士(専門)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開
次の事例を読んで,問題49から問題51までについて答えなさい。
Eさん(24歳,男性)は,就学前に医療機関でアスペルガー症候群(当時)と診断された。Eさんには,環境の変化への対応困難や相手の意図を理解できないことからくる混乱などがみられたが,高等学校までは,学級担任などの理解と丁寧な指導によって,何とか卒業できた。Eさんは,父親と同じコンピューターソフトを扱う仕事に興味を示し,志望大学に入学した。しかし,入学後1週間通ったところで,「履修計画を立てられない」,「自分が座りたい席に座れない」などの理由で,通学したくないと言い出した。以前診断を受けた医療機関が遠方であったため,母親はEさんを伴って,精神保健福祉センターに勤務するF精神保健福祉士の下を訪れた。F精神保健福祉士は二人の話を詳しく聞いた後,ある提案を行った。(問題49)次の記述のうち,F精神保健福祉士が説明したものとして,適切なものを1つ選びなさい。
その2か月後,母親から,「お陰でEが大学に行っている」と電話があった。しかし,母親によれば,Eさんは,元々好きだったインターネットゲームに最近ますます興じるようになり,夜更かしする結果,午前中の授業に出られないことがあるという。「注意しても聞かないし,このままでは心配」との話を聞いたF精神保健福祉士は,精神保健福祉センターの事業として立ち上げた,発達障害児・者の家族サポートグループを案内し,会の内容について説明した。(問題50)
Eさん自身も,時折,F精神保健福祉士の下を訪れ,「授業で発言したら笑われた」,「レポートをどう書いたらいいか分からない」など,大学で起こったことを相談していた。他の関係者からも適宜助言が行われた結果,Eさんは4年生に進級し,何とか卒業に必要な単位を取得する見込みが立った。しかし,Eさんは,「今の状態ではどこに就職しても長く働ける自信がない」,「卒業後少し訓練や経験を積んで,障害を開示せずに働ける仕事に就くことが自分の希望」と述べた。F精神保健福祉士は,Eさんの希望に沿う形で卒業後の進路について助言を行った。(問題51)
Eさんは,F精神保健福祉士の助言を参考に進路を選択し,最終的に自分に合う仕事に就くことができた。