問題54/第20回(平成29年度)/精神保健福祉士(専門)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開
次の事例を読んで,問題52から問題54までについて答えなさい。
大手の情報通信産業企業であるU社は,障害者法定雇用率の引上げに対応するため,総務部に社員サポート室を新設することにした。Gさん(精神保健福祉士)は,大学卒業後に障害者雇用支援機関で10年間勤務した後,U社に入職した。主な担当業務は,障害者の雇用と雇用管理,社員のメンタルヘルス支援である。この時点でのGさんの活動に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
入職して4か月後,制作部門のH課長が,部下でプログラム開発作業に従事しているJさん(35歳,男性)のことで相談に来た。H課長は,「Jさんは1年前に交通事故に遭って入院し,4か月で仕事に復帰した。ところが,復帰後はパターン化した仕事でなければミスばかりして,指示された内容もよく忘れる。仕事に集中できず,意欲も減退している。診断書には,高次脳機能障害による注意障害と記憶障害があり,これ以上の改善は難しいと記載されていると聞いている。社員サポート部門が新設されたと聞いたので,相談に乗ってほしい」と話した。話を聞いたGさんは,Jさんとインテーク面接を行った後に,アセスメントとして,最初に機能評価を行った。(問題52)
そして,全てのアセスメント結果から,Jさんに対する支援計画案を作成した。(問題53)
さらに,Gさんは,支援計画案を基にJさんとその家族,H課長と話し合い,支援計画を策定した。その後,Gさんを中心とした会社の支援もあり,Jさんは仕事を継続できている。時に周りの社員と折り合えずに不適応を起こすこともあるが,その都度,Gさんが相談に乗り,解決している。
その後,社内で,精神障害について理解を深めたいという声が上がったことから,Gさんは,社員を対象とした研修会の開催,精神障害の特徴と合理的配慮事項を記したパンフレットの作成配布など,精神障害者の雇用管理に向けて活動している。
これらの活動が評価され,Gさんは,自社の障害者実雇用率をさらに高め,職場定着も図るよう会社から指示を受けた。そして,Gさんは,実現に向けて活動を開始した。(問題54)