問題55/第21回(平成30年度)/精神保健福祉士(専門)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開
次の事例を読んで,問題55から問題57までについて答えなさい。
人口8万人の地方都市Q市は,人口減に歯止めがかからず,空き家問題も顕在化し,空き家対策の担当係を設置している。J精神保健福祉士は,隣の市の精神科病院で20年間勤務していたが,数年前にQ市唯一のW精神科病院に転職した。同病院には,実家がきょうだいに代替わりし,帰る家がないなど社会的諸条件が整わないため退院できない患者が多数入院していた。J精神保健福祉士は,それらの患者の地域移行に向けて,地域の関係機関との連携づくりを始めた。(問題55)次のうち,この時点で,J精神保健福祉士が連携した地域の機関として,適切なものを1つ選びなさい。
同時期に,Q市が設置する地域支援協議会では,精神障害者家族会代表者から,「親の施設入所や死亡により,一人暮らしになる精神障害者が増えつつある。その中には,症状が再燃し,入院となる人も出てきている。親亡き後のことを考えてほしい」という意見が出された。そこでQ市では,地域支援協議会に,W精神科病院,地域活動支援センターI型,就労継続支援B型事業所,保健所,家族会及び当事者会を構成メンバーとする専門部会を立ち上げることとなり,J精神保健福祉士が部会長に就任した。初回の部会では,J精神保健福祉士がファシリテーターとなり,「Q市における精神障害者のニーズと対策」というテーマで,相互に批判をしないというルールの下で多様な意見を出し合った。(問題56)
その後に意見を整理した結果,Q市の現状としては,受入れ条件が整えば退院可能 な者の対策が進んでいないことが共有された。そのような患者が地域生活を始めるためにも,また,親との離別により単身となった精神障害者が地域での暮らしを継続していくためにも,居住支援の必要性を確認した。そこで,J精神保健福祉士は,専門部会として,空き家を活用した居住支援を行っている自治体の視察を企画した。そして,Q市の精神保健福祉担当の職員だけでなく,空き家対策を担当する職員にも同行してもらうように働き掛けた。(問題57)