問題56/第20回(平成29年度)/精神保健福祉士(専門)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開
次の事例を読んで,問題55から問題57までについて答えなさい。
Kさん(77歳,男性)は,小学校の校長を定年まで務めた。退職後は地域での活動を積極的に行い,1年ほど前まで民生委員も務めていた。妻の話では,民生委員を引 退してからは,外出や人と接することが少なくなった。特に,3か月ほど前からは,時々食事をしたことを忘れていたり,県外に住む長男家族が帰省した時も,孫の名前を何度も聞いていたと言う。心配した妻は,Kさんが高血圧のために定期通院をしている内科クリニックに相談をした。そうしたところ,主治医から認知症疾患医療センター(以下「センター」という。)を紹介され,まずは,妻が電話をすることにした。次の記述のうち,L精神保健福祉士が行った面接の内容として,適切なものを1つ選びなさい。
センターでは,L精神保健福祉士が電話を受け,妻に日常生活において感じていることなどを聞いた。妻は,Kさんが食事をしたことを忘れていることや,孫の名前が 出てこないことなどを話した。(問題55)
傍らで聞いていたKさんは,妻が,「認知症ですか」などと発言したことに怒り始め,「そんなことはない」と大きな声で否定した。L精神保健福祉士は,妻にKさんのセンターへの受診を勧めた。しかし,Kさんは頑なに拒み,センターの利用には至らなかった。
2か月が経過した頃,民生委員の後輩のMさんが,民生委員・児童委員協議会の公開シンポジウムにKさんを誘い,一緒に行くことになった。そこで,同年代の認知症の人がシンポジストとして話をするのを聞き,Kさんは,「認知症になってもあれだけの話ができるんだ」と感心した。これが契機となり,Kさんはセンターの受診を受け入れた。二日後にセンターを訪れたKさんと妻は,L精神保健福祉士の面接を受けた。(問題56)
その後,Kさんは各種の臨床検査や心理テストを受け,診察の結果,初期の認知症と診断された。Kさんは診察の中で,たとえ認知症であっても地域の中で活動をしてみたいと言い,再びL精神保健福祉士に今後のことについて相談をした。(問題57)