問題56/第22回(令和元年度)/精神保健福祉士(専門)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開
次の事例を読んで、問題55から問題57までについて答えなさい。
Q市の地域若者サポートステーション(以下、「Qステーション」という。)で働くD相談員(精神保健福祉士)のところへ、抑うつ傾向にあるEさん(32歳、女性)の母親が、娘の将来を案じ相談に訪れた。話を聴くと、Eさんは1年間の浪人生活の後に大学へ進学した。卒業後は、希望する職業はなく有期雇用の採用であった。デザイン会社、IT企業、不動産会社などを転々として働いたが、この半年間はあまり外出もせず、自宅で過ごす日々が続いている。次の記述のうち、Eさんに求人面接を受けるように促したD相談員の意図として、適切なものを1つ選びなさい。
D相談員は、母親を通じEさんから了解を得て自宅を訪問した。数回の訪問の中で、Eさんから、「卒業後はリーマン・ショックによる就職難」「そして、結局有期雇用」「資格を取っても意味がなかった」といった傷ついた自尊心などが語られた。同世代のD相談員は、Eさんの話に共感し、「厳しい環境の中でも働けてきたこと」「働きながら資格を取り、様々な業種でキャリアを積んできたこと」「社会とつながろうとする気持ちがあったこと」などといったメッセージを返した。(問題55)
その後、EさんはQステーションを訪れるようになり、再び就職してみたいと考え始め、「無理しない程度で、若い人たちと会えるような職場があれば」とD相談員に話した。D相談員は自分の出身大学に隣接した、学生に人気があるカフェで求人が出ていたことを思い出し、Eさんの自宅から近いことや土日が休みであることなど、Eさんの希望とも合うことから、求人面接にチャレンジしてみるよう話した。(問題56)
その後、Eさんは無事に採用され、時には気分が落ち込むこともあったものの、D相談員との面談などにより支えられ、1年以上働き続けている。D相談員は、「働くことの息苦しさや困難さがあってもどうにかやってきたのですから、ここまでのことを誰かに伝えてみませんか」とEさんに提案してみた。「自分の体験が役に立つのなら、挑戦してみようかな」とEさんは話した。そこでD相談員は、このカフェを時々利用している自分のゼミの指導教員を訪ね、Eさんと大学生との交流ができないか相談した。(問題57)