問題57/第25回(令和4年度)/精神保健福祉士(専門)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開
次の事例を読んで、問題55から問題57までについて答えなさい。
人口7万人のQ市は、人口減少や世帯の小規模化が進み、地域のつながりの希薄化が課題となっている。X障害者基幹相談支援センターのE相談支援専門員(精神保健福祉士)(以下「E専門員」という。)はピアサポーターから、「地域の事業所は、精神障害への偏見の修正や生活のしづらさの改善のために、地域にどう関わり、支援に活かしているのか」と聞かれた。E専門員は地域内の取組を伝えながら、幾つかの課題が頭に浮かび、それを整理する必要があると考えた。そこでE専門員は、翌月開催されたQ市「協議会」の部会で、「各事業所及び事業所がある地区の強みと弱みなどを可視化して、現状や課題を探ってみませんか」と参加者に提案した。次のうち、この活動を通して地域に形成されたものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
その後、8事業所から参加協力を得て学習会を開催し、市内各地区のマトリックス表を作成した。実施後に参加者から、「地区別の各事業所の課題と役割が分かった」「市全域と各地区との関係が分かった」「現状を各地区の実践にどう活かすかが今後の課題だ」と報告があった。(問題55)
E専門員は報告を取りまとめ、「この結果を実践に活かすために、各事業所が個々の支援で工夫していることや課題と、今回地区ごとに可視化できたこととを結び付けてみてはどうでしょう。それらを精査して、地区やQ市の戦略的方策を考えていきませんか」と学習会において新たに提案した。(問題56)
その後、学習会で検討した結果、「取組はあるが、その実践スキルやノウハウが集約できていない」「取組成果が地域に発信されていない」「住民からフィードバックを受ける仕組みが整っていない」ことが整理された。そこで「協議会」ではそれらを戦略的方策として、地域住民や当事者、その家族と事業所の協働で、地域実践を蓄積する方法を開発し、外部評価の仕組み作りを進めていった。この活動が継続していくと、参加する住民や団体も増え、Q市各地区での信頼感や結束力の高まりがみられるようになった。(問題57)
(注)「協議会」は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に基づき、障害者等への支援体制の整備を図るため、保健医療関係者、福祉関係者等で構成される。