問題58/第21回(平成30年度)/精神保健福祉士(専門)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開
次の事例を読んで,問題58から問題60までについて答えなさい。
X地域活動支援センター(I型)(以下「センター」という。)は,近隣のR市中学校より中学2年生を対象とした福祉教育の依頼を受けた。「総合的な学習の時間で精神障害を取り上げたい。生徒がメンタルヘルスを考えるとともに,地域共生について学ぶ機会になってほしい」という。センターに勤務するK精神保健福祉士は,以前,センターの利用者に,「もっと早い段階で病気のことを知っていればよかった」と言われたことを思い出し,改めてセンターに期待される役割を考えた。(問題58)次のうち,この時点でK精神保健福祉士が考えたX地域活動支援センター(I型)の役割として,適切なものを1つ選びなさい。
依頼を受けたK精神保健福祉士は,中学校教諭,センター利用者,民生委員,同僚の精神保健福祉士たちと共同検討会を行い,授業の目的や内容について協議を始めた。授業で取り上げる精神疾患の種類や知ってほしい社会資源を検討していた時,センターの利用者から,「病気やサービスの説明だけで生徒がこころの健康を考えたり,障害のある人と一緒に生きていけるような地域をつくれるだろうか。講義だけでいいのでしょうか?」との意見が出された。そこでK精神保健福祉士は次のように発言した。(問題59)
検討会を重ねるうちに,それぞれの思いや願いを率直に語る雰囲気ができ,各々の立場での考え方を共有していった。生徒たちのメンタルヘルス,地域での精神障害者の生活,感じる偏見などの話題を通して授業の目的や内容が明確になり,案がまとまった。授業のテーマは,「誰かに相談することは自分と大切な人を守る」とし,内容はプログラム1としてメンタルヘルスや当事者体験の講義,プログラム2として交流体験型学習と決定した。(問題60)
授業実施後,生徒たちから,「誰もが一日一日を一生懸命生きていることが分かった」,「自分と周りの人を大切にして行動したい」などの感想が寄せられた。また教諭より,「当事者の方と交流して,地域で共に生きることを生徒たちが考える機会に なった」とコメントがあった。その後,K精神保健福祉士は授業についての報告書をまとめ,この取組を他でも展開していけるよう教育委員会に働き掛けを行っている。