問題70/第25回(令和4年度)/精神保健福祉士(専門)
精神保健福祉に関する制度とサービス
次の事例を読んで、問題70から問題72までについて答えなさい。
地元の中小企業で正社員として勤務するJさん(55歳、男性)は、学生時代に統合失調症を発症し、入院をした。退院後に、症状はほぼ消失したため、現在の会社に就職し、何度か再発の危機はあったが、その都度外来治療で乗り越えてきた。ある日、勤務中に、「誰かが自分の命を狙っている」「窓の外に誰かがいる」などの発言がみられるようになり、心配した勤務先の同僚に付き添われてY精神科病院を受診した。Jさんは支離滅裂なことを言ったり、大きな声で叫んだことから、診察したK医師(精神保健指定医)は直ちに入院を必要とする状態と判断した。入院を勧めたが、Jさんは拒否したため、K医師は本人の意思によらない入院の手続を進めることとした。なお、Jさんの両親はすでに他界しており、兄弟等の親族もいない。(問題70)次のうち、Jさんの入院の同意者として、正しいものを1つ選びなさい。
入院後間もなく、Jさんは徐々に落ち着きを取り戻した。ある日、Jさんは相談室のL精神保健福祉士に対して、「給与が出なくなり、経済的に不安だ」と訴えた。そこで、L精神保健福祉士は、Jさんに対して、健康保険法に基づく制度を紹介し、申請方法について説明した。その後のJさんは、この制度を利用できたことにより経済的な不安が解消し、退院後の自分の生活について考えられるようになった。(問題71)
3か月後、JさんはY精神科病院を退院した。その後、外来時にJさんは相談室に寄りL精神保健福祉士に対し、「しばらくは働かずに、自宅で療養して過ごそうと思います。ただ、家に一人でいるのも不安があるので、誰かと話したり、趣味である絵を描いたりする場所が欲しいと思っています」と相談してきた。そこで、L精神保健福祉士は、「障害者総合支援法」において、創作的活動や生産活動の機会の提供、社会との交流の促進等を行うZセンターの紹介を検討した。(問題72)
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。