社会人が精神保健福祉士の資格を取るには

 学生時代には精神科のこともよく知らず、周りではうつ病とか聞くことはあったけど、精神の病気なんて自分とは関係ないと思っていた方でも、仕事で取り扱ったり、職場の人が突然休んだり辞めてしまったり、年齢を重ねるうちに精神障害について考える機会が増えているのではないでしょうか。

 仕事で資格が必要になった方、精神障害についての専門的知識や技術を身に付けたい方、精神科病院等で精神障害者の援助を行う意欲がある方などは資格取得について検討してみてください。

 ただ、どうやったら資格が取れるのか、そもそも試験を受ける資格があるのかもわからない人は多いかと思います。私の場合は試験センターのサイトを何度見てもよくわかりませんでした。今回は資格取得までの流れをまとめてみました。

精神保健福祉士とは

 厚生労働省のウェブサイトに下記のとおり説明がありました。

精神保健福祉士は、精神保健福祉士法(平成9年法律第131号)に基づく名称独占の資格であり、精神保健福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、又は精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援の利用に関する相談その他の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行うことを業とする者をいいます。

厚生労働省ウェブサイト、精神保健福祉士についてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/seisinhoken/index.html
  • 名称独占(資格がなければ仕事ができないということではないけど、あったほうがいい)
  • 病院、医療施設、施設を利用している者の「地域相談支援の利用」「社会復帰」に関する相談に応じる
  • 助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行う

といったことが精神保健福祉士の業務、特徴となります。

 勤務先は精神科病院が主になりますが、それ以外にも保健所や市役所などの地方自治体、地域の診療所、福祉事業所、民間企業等活躍の場はたくさんあります。

試験の動向

 第25回(令和4年度)の精神保健福祉士国家試験は、受験者数 7,024人、合格者数 4,996人で合格率は 71.1%でした。(社会福祉士は受験者数 36,974人、合格者数 16,338人、合格率 44.2%で、社会福祉士よりも受験者数は少なく、合格率は高い。)

 昨年度は 受験者数 6,502人 合格者数 4,267人 合格率 65.6% であり、昨年度と比べて受験者、合格者ともに増加しており、合格率も上昇しています。

 そのうち、多くの社会人受験者が当てはまるであろう「短期養成施設等ルート」は 2,387人で 「一般養成施設等ルート」は 1,944人でした。養成施設を合わせると、保健福祉系大学ルートよりも多く、受験者全体の半分以上となっています。

資格取得ルート

受験資格があるのかどうかは社会福祉振興・試験センターのサイト(https://www.sssc.or.jp/seishin/shikaku/route.html)で確認します。

 普通に学校を卒業して仕事をしている方に関しては、4年制の大学を卒業したか、4年の相談援助実務の経験若しくは短大の年数と相談援助実務の経験を足して4年を満たして、一般養成施設等を卒業する(必須)ことでようやく受験資格を得ることができます。

 精神保健福祉士に関して、社会福祉士と大きく異なるのは「社会福祉士登録者」については、大学等で基礎科目を履修していなくても、短期養成施設等を卒業すれば受験資格が得られることです。

 私の場合は先に社会福祉士の試験に合格して、社会福祉士として登録をしていたため、短期養成施設等のルートで進むことができました。養成施設のリスト(https://www.sssc.or.jp/seishin/shikaku/se_10.html)の中から学校を選び入学しました。短期であれば通信で9か月の期間を要し、入学した年度末の試験を受けます。一般であれば通信で1年半以上の期間で、2年目の年度末に試験を受けることになります。仕事をしながらだと、昼間の通学は困難で、ほぼ通信一択になるかと思います。

養成施設

 養成校の入学は4月がほとんどではないでしょうか。前年の10月くらいから募集が始まり、学歴や職歴の証明書類を集め、選考があるため、小論文を作って提出します。選考結果が送られてきて、学費等払い込んで入学となります。

スクーリング

 仕事をしながら学校に通う場合には通信課程になるかと思いますが、通信といっても100%通信で終了するということはなく、入学式やスクーリングなど、全部で6回くらいは学校に行くことが必要です。(新型コロナウイルスの流行以降は、オンラインでのスクーリングなども取り入れられており、必ずしも学校まで行く必要がない場合も多いと思われます。)

 私はちょうど新型コロナウイルスが拡大を始めた時期で、実際に学校に行ったのは最後のスクーリング一回のみでした。通学の苦しみはなかったものの、同じ志を持った仲間との交流はほぼできませんでした。スクーリングは土日祝日に実施されるため、仕事を休む必要はありませんでしたが、平日は仕事をして、休日に学校、また平日に仕事と休みがなく2週間ぶっ続けは消耗激しいです。

レポート

 各科目についてレポートを作成して提出することになります。私が通った学校では提出期間が大体1か月ごとに区切られて、各期に3~4個の提出をしていました。各レポート1000字以上などの条件があり、評価が悪かった場合には再提出を求められるため、内容もテキストをよく読んだ上で作成する必要があります。

 仕事を終わった後に自宅でレポートを作成するってかなりきつい。ましてや自宅に世話をする家族がいた場合には相当です。もし家族の配慮があるならば、この期間は十分に甘えましょう。 

実習

 相談援助実務の経験が1年以上あれば実習は免除されますが、ない場合には実習を受けなければいけません。とは言っても、経験のない人にとっては特に実習先での経験は精神保健福祉士として活躍するために重要なものとなるかと思います。

 実習は210時間(約27日)とかなり長い期間の実習となります。90時間(約12日間)の医療機関実習+120時間(約15日間)の福祉施設実習と2か所での実習を行います。社会福祉士資格取得時に「社会福祉援助技術現場実習」「相談援助実習」を履修済みの場合には60時間が免除されます。

 仕事をつづけながら実習に参加するのは厳しいですが、職場の理解を得ることができれば参加することも可能でしょう。

試験

 養成施設の課題をこなし、無事に卒業を迎えることができる状況になってようやく試験の受験資格を得ることができます。養成校の課題をこなすことで十分に実力はついていると思いますが、試験に対応するためには試験のための勉強も必要です。当サイトの過去問演習を利用して、理解を深め、準備十分に試験に挑みましょう。

 最後に、試験に合格しただけでは精神保健福祉士を名乗ることはできません。合格した後は案内に従って資格の登録を行いましょう。

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