障害者総合支援法について(その1 概要)

 障害者総合支援法は、障害のある人が基本的人権のある個人としての尊厳にふさわしい日常生活や社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付、地域生活支援事業やその他の支援を総合的に行うことを定めた法律です。

 身体・知的・精神等の障害によって日常生活を送るにあたって支援を要する方が、障害福祉サービスを受ける根拠となる法律です。今回は、障害者総合支援法の概要について法律を抜粋してまとめました。

障害者総合支援法の概要

 2012年(平成24年)6月の改正で、それまでの「障害者自立支援法」から名称を「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」に改められ、2013年(平成25年)4月1日に施工された。

法の目的

 法律の目的をそれまでの障害者の「自立」の代わりに「基本的人権を享有する個人としての尊厳」に改め、障害福祉サービスに係る給付に加えて、地域生活支援事業による支援を明記して、それらの支援を総合的に行うこととした。

第一条 この法律は、障害者基本法の基本的な理念にのっとり、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、児童福祉法その他障害者及び障害児の福祉に関する法律と相まって、障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付、地域生活支援事業その他の支援を総合的に行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

障害者総合支援法 第一条(目的)

法の理念

第一条の二 障害者及び障害児が日常生活又は社会生活を営むための支援は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、全ての障害者及び障害児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活又は社会生活を営むための支援を受けられることにより社会参加の機会が確保されること及びどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと並びに障害者及び障害児にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去に資することを旨として、総合的かつ計画的に行わなければならない。

障害者総合支援法 第一条の二(基本理念)
  1. 全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重される
  2. 全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する
  3. 全ての障害者及び障害児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活又は社会生活を営むための支援を受けられる
  4. 社会参加の機会が確保される
  5. どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられない
  6. 障害者及び障害児にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去に資する

障害者の範囲

第四条 この法律において「障害者」とは、身体障害者福祉法第四条に規定する身体障害者、知的障害者福祉法にいう知的障害者のうち十八歳以上である者及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第五条に規定する精神障害者(発達障害者支援法第二条第二項に規定する発達障害者を含み、知的障害者福祉法にいう知的障害者を除く。以下「精神障害者」という。)のうち十八歳以上である者並びに治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度である者であって十八歳以上であるものをいう。

 この法律において「障害児」とは、児童福祉法第四条第二項に規定する障害児をいう。

 この法律において「保護者」とは、児童福祉法第六条に規定する保護者をいう。

 この法律において「障害支援区分」とは、障害者等の障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合を総合的に示すものとして厚生労働省令で定める区分をいう。

障害者総合支援法 第四条(定義)
  1. 身体障害者福祉法第四条に規定する身体障害者
  2. 知的障害者福祉法にいう知的障害者のうち十八歳以上である者
  3. 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第五条に規定する精神障害者(発達障害者支援法第二条第二項に規定する発達障害者を含み、知的障害者福祉法にいう知的障害者を除く。)のうち十八歳以上である者
  4. 治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度である者であって十八歳以上であるもの
  5. 児童福祉法第四条第二項に規定する障害児

 「制度の谷間」を埋めるべく、障害者の範囲に難病等を加えられた。また、発達障害者が支援の対象であることを明確化した。

障害支援区分

 障害者自立支援法では、障害の程度を示す「障害程度区分」を用いていたが、障害の多様な特性その他心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合を総合的に示すものとして「障害支援区分」が定義された。

 区分認定の手続きは、市町村において行う。申請を受理した市町村は、認定調査員による認定調査を行い、主治医の意見書を勘案してコンピュータによる一次判定、市町村審査会による二次判定を行い、最終的に市町村が障害支援区分を認定する。

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